「食事はトレーニング」ではない

こんにちは、BASEBALL FUTUREの小見野です!

皆さんは、今放映している朝ドラを見ていますか?今回のテーマは、栄養士を主人公にした物語のようですね。朝ぼんやりとテレビを眺めていたら、高校野球部の監督だという人物が「食事も大切なトレーニングの一環である」と力説するシーンがありました。ドラマの時代背景は、今のソフトバンクホークスが「ダイエーホークス」だった頃で、およそ20年前のことです。当時は根性論がまだ色濃く残っていましたが、その中で「栄養士が食事を管理し、選手の体調を管理する」という考えを持った野球部が描かれており、非常に合理的なアプローチをとっていたのだと感じました。

とはいえ、「食事はトレーニング」なのでしょうか?私は「食事は楽しむもの」だと思っています。食事は一日の中でホッとできる、心が安らぐ時間であるべきです。しかし、実際のスポーツ現場では「食事はトレーニング」と信じて疑わない指導者も多いのが現状です。今回は、野球選手やチームが「食事」とどう向き合っていくべきかについて、考えてみたいと思います。

「食事はトレーニング」という考え方の課題

スポーツ選手にとって食事管理が重要であることは間違いありません。アスリートは栄養バランスを考えた健康的な食生活が必要ですし、体づくりに必要なカロリーの摂取も欠かせません。ただ、「食事はトレーニング」と捉えすぎてしまうと、選手が「食べること」にプレッシャーを感じたり、義務感で食べることが習慣化してしまいます。これでは、食事本来の「楽しむ」という目的が薄れてしまい、精神的な負担にもつながるでしょう。

特に若い選手にとって、食事を「鍛錬の一部」と感じて義務的に食べることが習慣化してしまうと、食事の楽しさが失われてしまいます。食事は栄養を摂るだけでなく、リラックスやコミュニケーションの場でもあります。家族や仲間と一緒に食事を楽しみ、会話を交わすことで、心身がリフレッシュされ、結果としてパフォーマンス向上にもつながるのです。

楽しみながら栄養バランスを意識する工夫

では、どうすれば「楽しむ食事」をしつつ、健康的な食生活を保つことができるでしょうか?食卓をカラフルに彩るのもひとつの手です。茶色いお肉だけでなくトマトの赤、ニンジンのオレンジ、トウモロコシの黄、ブロッコリーの緑など、色鮮やかな食材を取り入れることで、見た目から食事が楽しくなります。カラフルな食卓は視覚的な満足感を与えるだけでなく、自然と栄養バランスも整います。というのも、色の違う食材にはそれぞれ異なる栄養素が含まれているため、多彩な色を取り入れることで幅広い栄養を摂取できるのです。

また、季節ごとに旬の食材を取り入れるのも、食事を楽しむ工夫のひとつです。旬の食材は、その時期に最も美味しく、栄養価も高いのが特徴です。例えば、春には新鮮な山菜やアスパラガス、夏にはトマトやキュウリ、秋にはカボチャやキノコ類、冬には根菜やブリなど、四季折々の恵みを活かしたメニューを取り入れると、自然と食事のバリエーションが広がります。

他には、週に一度「今日は好きなものを楽しむ日」を設けて、選手が自由に好きなものを食べられる日にしてみるのもユニークな方法です。このようなメリハリある食事計画は、栄養バランスを意識しながらも、楽しみやモチベーションを高めることにつながります。

真剣に食べることも求められる

最近は、食事中にスマホの画面を見ている方も増えてきていますが、アスリートに限らず、もっと食に興味を持ち、食事の内容に目を向けてみてほしいと思います。例えば、次のように食材について考えると、食事がより楽しくなるかもしれません。

「豚肉にはビタミンB1が多く含まれているから、スタミナUPにいいな」

「鶏のムネ肉は脂質が少ないから、ヘルシーだな」

「魚の油は血液をサラサラにしてくれる効果があるって聞いた」

「最近サラダを食べていないから、今日はしっかり野菜を摂ろう」

「豆腐を食べれば植物性のタンパク質も摂れるな」

「ゴボウには食物繊維が豊富で、お通じにも良さそう」

「試合前だから玄米よりも、すぐにエネルギーになる白米にしよう」

こうした視点を持ちながら食事することで、食べることが単なるルーチンではなく、楽しみながら学ぶ機会にもなります。また、毎日3回食事をする中で、こうした意識を持つと、食べることが単なる習慣ではなく「自分の体を作る重要なプロセス」だと理解できるようになります。毎日3回以上行う食事だからこそ、その小さな積み重ねが将来的に大きな差を生む可能性を秘めています。ライバルと差をつけるためにも、食材選びや食事の工夫に少しだけ意識を向けてみるといいでしょう。

結論:食事は「楽しむもの」、その積み重ねが成長を後押しする

食事を「トレーニング」として捉えるのではなく、「楽しむもの」と考えることで、心身ともにリフレッシュできる時間へと変えることができます。楽しむ気持ちを持ちながら、食事を通して自分の体を整えることができれば、それが選手としての成長にもつながります。逆に、食事が義務となり、プレッシャーを伴うものになってしまうと、選手にとって大きな負担となるだけでなく、食事への意識がネガティブなものになってしまうかもしれません。

食事が楽しみになれば、きっとパフォーマンスも変わるはずです。皆さんも今日の食事を、ぜひ「楽しむ」時間にしてみてくださいね!