ルールブックの盲点?『通称ドカベンルール』

こんにちは、BASEBALL FUTUREの小見野です。

何を隠そう、私は中学生の頃から大の『ドカベン』ファンでした。特に高校野球編は何度も読み返した記憶があります。そしてなんと、20年ほど前に草野球で作者の水島新司先生と投手対打者として対戦したことがあります。これは私の一生の思い出です。

さて、今回は『ドカベン』の高校野球編から、神奈川県大会での明訓高校と白新高校の試合における「あの名場面」を取り上げて、野球ルールの奥深さと実践での注意点について考えてみたいと思います。

どんな場面だったのか

明訓高校の攻撃、1死満塁からバッター微笑がスクイズするも小フライになる。これを白新高校のピッチャー不知火(しらぬい)がダイビングキャッチで2アウト。スタートを切っていたサードランナー岩鬼はそのままホームへ突入しており、ファーストランナー山田も飛び出してしまう。不知火はすぐ近くの1塁へ送球しダブルプレーが成立して3アウトチェンジ。白新ナインがベンチへ引き上げるとなぜか明訓に1点が入っている、そんなシーンでした。

プレーの解説

3つ目のアウトが打者走者であれば得点が認められることはありません。例えば1死満塁から6-4-3のダブルプレーであれば、3つ目のアウトより早くサードランナーがホームベースを踏んでいようと得点にはなりません。明訓対白新のケースでは、まず打者がフライアウト、1塁走者がアウトになる前に3塁走者がホームベースを踏んでいて守備側からタッチアップが早いというアピールもないためホームインが認められるという訳です。守備側は全員がファールラインを超える前に3つ目のアウトを3塁走者に置き換える措置をとる必要がありました。(または最初から3塁へ送球してダブルプレーを完成させていれば問題にならなかった。)

タッチアップで離塁が早いランナーをアウトにするのはアピールプレーであるということを頭に入れておきましょう。2006年の第1回WBC日本対アメリカで、犠牲フライによって日本が勝ち越しと思われましたがアメリカ側のアピールによって球審のボブ・デービットソンがアウトを宣告する場面は世紀の大誤審と言われ語り継がれています。判定が正しかったかどうかはさておき、アピールがあって初めてジャッジが下されるわけで、アピールがなければ進塁した状態で試合が進行していくということです。

実際、野球人生のなかで1回でも明訓対白新のようなプレーがあったら稀ですが知っておくことは大事です。熊本県の済済黌高校が甲子園で似たようなケースで得点しています。攻撃側はルールを知っていたから意図的に行なったと試合後に話しているようですが、守備側も知っていれば失点は防げました。

より実践的な場面で

ここからはより試合でも起こりやすいケースで考えていきましょう。

1死二三塁や満塁での犠牲フライは走者に注意が必要です。2塁走者が3塁走者より先にアウトになってしまうと得点が認められないからです。2010年、阪神の城島健司選手が打ったサヨナラ犠牲フライで、2塁走者の新井貴浩選手が3塁に向かってタッチアウトとなるプレーがありました。3塁走者のホームインの方が早かったため得点は認められましたが、リスクを冒さず2塁に留まっていれば良かったケースです。1死二三塁や満塁での犠牲フライはとにかく、余裕があっても3塁走者は全力疾走を怠らないことです。

近年では1塁走者が大きな外野フライでタッチアップして2塁へ進塁するプレーがよく見られるようになりました。1死一三塁で大きな外野フライで1塁走者が危険を冒して2塁へ進む場合も同様に注意が必要です。3塁走者の得点が優先されるべきだからです。得点と進塁の「二兎を追うものは一兎をも得ず」にならないように気をつけましょう。

まとめ:知識は勝利への一歩

野球は単なる力勝負ではなく、知識や戦略が結果を大きく左右するスポーツです。ルールを知り、状況に応じた正しい判断を身につけることで、試合の流れを有利に進めることができます。ぜひ、今回紹介したケースも参考にしつつ、野球の奥深さをさらに楽しんでください。